今こそ恋愛やセックスを見直そう
♪どんなことから始まるのかしら?愛だの恋だのそんなようなもの
みんな夢中 そればかり 恋人がいなけりゃ仲間はずれ
みんな 毎日 おなじこと話す 同じ服きて同じテレビみて
やさしそうな男の子 甘いささやき うらやましくないわけじゃないけど♪
「愛がなくちゃね」矢野顕子 一九八二年
「恋愛」――この二文字に、世の中の女性はどれほど拘束されているのでしょうか。いまや、わたしたちは「恋愛狂時代」のまっただ中にいます。マスメディアはさかんに恋愛をすすめ、雑誌やドラマが提供する恋愛マニュアルどおりの恋愛や結婚を夢見る若者たち。年代を問わず恋愛は一つの重要な価値観であり、行動の指針であり、場合によっては人生の目標にまでなっているのです。
きれいに着飾るのもダイエットをするのも、テレビや雑誌を見て流行の話題を身につけるのも、アルバイトをするのも、運転免許をとるのも、つきつめてしまえば「恋愛」のため、ステキなカレと出会うためという女性も少なくないほどです。彼女たちはまさに、恋愛のための人生を歩んでいるのです。
そのいっぽうで、恋愛とは何なのか、何のために恋愛するのか、恋愛したらセックスしないといけないのか、あるいは、セックスするには恋愛しないといけないのか、といったさまざまな疑問を抱く女性も少なくはありません。恋愛やセックスがあたりまえとされている時代だからこそ、あらためて本当の恋愛とは何か、恋愛は本当にわたしたちを幸せにするのかという問題がクローズアップされてきているのです。
現代は、たしかに恋愛もセックスも自由になってきています。男女交際はもちろんこのこと、女性の婚前交渉も以前にくらべると許容されてきています。そんな風潮の中で、性に関する問題が深刻化しているのも、また事実です。毎年増加の一途をたどるエイズ感染者数、中学生から主婦にまで広がる性の商品化、職場でのセクシャルハラスメントなど、たくさんの解決すべき問題が未解決のままと言えるでしょう。
中でも、最近話題となることが多いのが「セックスレス」の問題です。性の自由化が進む現代、「セックスがあたりまえ」のはずの夫婦やカップルのあいだで、セックスしない人々が増えているのです。
これまでも、カップルが高齢化すればセックスしなくなるのは普通のことでした。ところが、最近は、二十代〜三十代の若いカップルのあいだでセックスレスが広まっているということです。
前著『なぜ、人間はセックスするのか』を出版した際、寄せられたたくさんの反響のお便りの中で、「セックスレスで悩んでいる」、「セックスしたくないがどうしたらいいのか」という女性の声が目立ちました。それらを見るかぎり、性に悩んでいるのは圧倒的に女性が多いようでした。二十から三十代の女性は、セックスレス、性嫌悪症、夫婦関係への倦怠感など多くの問題を抱えているのです。ごく一部をご紹介してみましょう。
「結婚してそんなに年月が経っていないのに、最近主人とセックスがありません」(三十三歳、既婚)
「私たちは、ただその気にならないという理由でセックスレスです。とくにわたしは、夫にかぎらず男性に対しても性欲を感じません」(二十四歳、既婚)
「結婚したばかりのときは、毎日のようにしていたのが、今は一カ月に一回あればいいほうです」(二十九歳、既婚)
「夫とのセックスは苦痛です」(二十九歳、既婚)
「セックスレスを理由に別居中です」(二十八歳、既婚)
「子供を出産してから、セックスをしたいと思いません」(二十六歳、既婚)
「結婚して十年目、セックスレスになった。わたしはこのままでもいいのだが、夫はそうでもないみたい」(三十四歳、既婚)
「最近、主人とのセックスがつまらなく感じ始めました。別に嫌いなわけではありませんが、セックスしたいと思うことが少なくなりました」(三十六歳 既婚)
「好きな人とでも、なぜか怖いという思いがあり、安心できない」(二十三歳 未婚)
「いつもしたあとに、『人はなんでこんなことをするのかなあ』と考えてしまいます」(二十二歳 未婚)
このように、二十代の主婦を中心に、セックスレスで悩んでいる女性がかなり多いということにあらためて驚かされました。もちろん、これは統計的なデータではありませんが、任意に送られた手紙でも、二、三十代のセックスレス・カップルが目立ったということは、かなり一般的な現象になっていると考えてよいと思われます。また、既婚、未婚を問わず、セックスを素直に楽しむ気になれないという女性の声もかなり見られたのも特徴的でした。
恋愛やセックスに対する規制が緩くなった現代だからこそ、恋愛とは何か、セックスとは何かを真剣に問い直す必要があるのではないでしょうか。本書は、マニュアル化された恋愛やセックスをもう一度見つめ直し、あなたが望む恋愛やセックスのあり方を模索するための本です。恋愛感情はどのようにして生まれるのか、なぜセックスしたくなるのか、あるいはしたくないのか、恋愛やセックスとどのようにしてつき合っていけばいいのか。恋愛やセックスにまつわる問題を、女性の心理を切り口にして浮き彫りにしていきます。
本書が、恋愛に迷える女性たちに何らかの支えとなることを願っています。
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